広島高等裁判所 昭和30年(う)160号 判決
論旨は、被告人は花田仲次と二人で被害者の末武コトを強姦しようと共謀したけれども、それは花田において同女にジヤンバーを覆せた上強姦しようと共謀しただけである。そして被害者の本件受傷は右ジヤンバーを覆せたことから生じたものではなく花田の単独の行動から生じたものであるから、たとえ強姦致傷罪はいわゆる結果犯であるとしても、被告人は右の結果につきその責を負うべきものではないというにある。
しかし被告人は原審相被告人花田仲次と共謀の上前記同女を強姦しようとして原判示犯行に及んだものであり、原判決挙示の証拠によれば、同女の本件受傷(顔面打撲症、左背部肩胛部咬傷)は、右被告人等が姦淫の目的を遂げようとして共同して現場において同女と格闘中、花田が同女の抵抗を排除しようとしてその頭を強く地上に突き或はその左肩に噛み付いて生ぜしめたものであることが認め得られるから、右は強姦の手段たる暴行々為から生じたものであることが明らかである。そして強姦を共謀した者はその内一人が相手方に対し強姦の手段たる暴行々為により生ぜしめた傷害の結果につき共同正犯としてその責を負わねばならないと解すべきものであるから、たとえ同女の右致傷は直接には花田の行為に基くものであり、且つ予め謀議したところは単に同女にジヤンバーを覆せて押え付けることだけであつたとしても、被告人は右致傷の結果につき到底その責を免かれることはできないものといわねばならない。それ故論旨は理由がない。
(裁判長判事 柴原八一 判事 尾坂貞治 判事 池田章)